【取材記事】フードリンクニュースに特集されました(八百八町買収の件)

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株式会社サブライムが2月1日付けで株式会社八百八町を子会社化したという発表に驚かされた。「つぼ八」を北海道で創業し、400店舗の居酒屋チェーンを作り上げた石井誠二氏。ワタミも「つぼ八」のFCから誕生した。その石井氏は1989年、新たに八百八町を創業。70歳を超える石井氏が後継者に選んだのが花光氏だ。その花光氏に電撃取材した。

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「ひもの屋」。2003年4月に1号店が誕生。江戸時代の漁村・田舎をイメージした居酒屋。

 サブライムが子会社化した八百八町は「ひもの屋」を中心に70店舗を展開。内訳は、直営15店舗、FC55店舗。既存144店舗と合算して、サブライムは214店舗を運営する外食企業となった。グループ年商ベースで約110億円となる。

 同社が取得したのは八百八町の株の80%超。筆頭株主である石井氏が持つ61%に加えて、取引先が持っていた株の一部も引き取った。石井氏は八百八町の会長を2月1日付けで退任した。

 「石井さんには後継者がいなかった。僕はどんな条件で買収できるのか常に様々な会社の財務状況を調べている。そしてアポを取って会いに行く。その中の1社が八百八町。最初、ディスクローズされていない部分が不安でためらい、今期は買収ではなく自分で店舗を積み上げて会社を大きくしていこうとも思った。しかし、多数の企業からオファーがあるにもかかわらず、『お前に八百八町を成長させてほしい。八百八町という魂を引き継いで会社を存続させて欲しい』と石井さんから言われて踏み切った。1月30日に石井さんの自宅で最後の契約を交わした時、奥さんから『花光さんなら必ず渡邊(美樹)さんを追い越すわよ』と励まされた」と花光氏。

 八百八町は東京東部で、サブライムは西部で展開。しかも、両社は運営委託をメインとする同じスキームで店舗展開。両社が一つになればシナジー効果が生まれる。

 「八百八町は黒字で優良企業。1店舗約5千万円の投資。店を本部で作って、個人オーナーに運営委託させる仕組み。サブライムは現状の外食の最先端を進んでいる。オーナーが利益の源泉なので、サブライムと一緒になったことで彼らにメリットを感じてもらわないとダメ。」

 「細かい部分だが、本部にお茶のディスペンサーがあった。オーナーから見れば自分たちの利益がここに使われているのではないか、とみられる。そこに軋轢が生まれる。本部を質素にすることが重要。現場スタッフやオーナーが本部に来た時にちゃんとした会社だということを分かってもらいたい。」

 「ブランドを買いたかった。今までは600~700万円で店舗を作っていたがブランドが無かった。これからは20年の歴史がある『ひもの屋』というブランドが使えて、さらにシナジーが生まれる。現在は1~2店舗しか持ててないが、10~20店舗持てるという夢を与えたい。ブランド価値はバランスシートには載っていないが、大きな価値がある。」

 「僕のやり方を揶揄する方もいるが、僕のやって来たことは僕の中では元々、外食の王道。なぜなら外食はもともと屋台から始まり、お金を掛けないお店でどうやってお客様を集めていくか、というところから始まった。戦後のバラックをみてください。あれが外食の王道だと僕は思うのです。居酒屋というマーケットそのものを作った石井さんが僕に託すということでサブライムが今までやってきたことの正しさを証明できた。なぜなら、居酒屋という業態を作った張本人が花光しかいないと任せてくれた訳だから。」

 「僕は何を言われてもいいが、従業員が変な会社で働いていると無責任な外野から言われたり思われたりするのが嫌。今回の買収に対する社員の反応は『凄い!さすが!』『有言実行』。サブライムグループは一段と結束力が強まった。」

 花光氏は会長となり、右腕の中村英樹氏(サブライム取締役)は社長となって、当面、大田区東矢口の本社に詰めて、本部、物流、直営店、FC店などの見直しを急ピッチで進める。旧社長だった加藤敏也氏は一旦は取締役になるが、半年から1年後には社長に返り咲いてもらう予定だ。サブライムはホールディングカンパニー制をとり、買収した企業の中で優秀な人材はどんどん起用する。

 「八百八町の変えなければならないところは変えて、変えてはいけないところは変えない。手を入れる所は分かっている。店舗初期投資が大きいので委託費が大きくなる。流通も重い。本部は10人もいる。ウチは144店舗で本部はたった3人。取引先にも資金調達に協力してもらいたい。サブライムは絶対に成長すると分かってるので無理してでも付いてきてくれる。付いてきた方には必ず恩を返す。つらい時に助けてくれた恩は必ず、何があっても返す。」

 「2年間は一旦耐える。その間にグループ300店舗体制まで持って行く。それ以降はまた仕掛ける。2年は踊り場を作って収益を拡大し、財務を再構築し成長戦略を描く。その後、さらにレバレッジを掛けて30代前半2回目の勝負をしかける。年商で言うと100億~300億規模の買収。企業の成長、停滞、衰退要因を調べ、同じ原因で同じ失敗をしないようにあらかじめ疑似体験をしておく。僕は常にオンザクリフを走っている。挑戦せずに生き延びるより挑戦して後悔のない人生を送りたい。失敗しないように最大の努力とヘッジをする。」

 「5年計画は意味がない。自分の成長曲線は計画に折りこめない。自分という人間がどう成長するかなんて5年後は分からないでしょう。」

 「1000億円企業を目指そうとしたが、1000億円は多分できる。31歳で100億出来たのであと10倍。 でも、あと10倍しか成長できない人生は嫌。次はもっと上を目指す。」

 花光氏は勉強家。自己投資には惜しみなく金を使い、財務、税務、不動産、金融、法務、労務、など学び続けてここまで成長してきた。
「外食はこうあるべき」と主張する外食業界人から錬金術師とも揶揄されることがあった。今回の八百八町の買収を鑑みると、今までのやり方では日本の外食は立ちいかなくなっているように見える。花光流が外食業界に理解されるターニングポイントになるだろう。

安田正明 

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このページは、webmasterが2013年2月 6日 11:37に書いたブログ記事です。

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